引越しの機会に仏壇を処分したいけどどうしたらいい？費用は？

 

高齢化や社会の変化に伴って、止むを得ず仏壇を処分する人が増えています。
引越しの機会に仏壇を処分したいと考えている人もいるでしょう。
しかし、仏壇は気軽に取り扱うことができない品物であり、サイズも大きいため処分に困る物のひとつです。

「仏壇をどうやって処分すればいいのか分からない」

「仏壇が大きすぎて自分では運べない」

「仏壇の処分には魂抜きが必要って聞いたけど何のこと？」

そんな悩みや疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。

今回は仏壇の処分方法について詳しく解説します。
仏壇を処分する際の注意点や、処分にかかる費用などもご紹介しますので、是非参考にしてみてください。

仏壇を処分する前に

仏壇を処分する前に、必ずチェックしておくべきポイントがあります。

大切なものが入っていないか仏壇をよく調べる

貴重品などを仏壇にしまっておく人が多くいます。
仏壇には隠れた引き出しがついているものもあり、通帳・貴金属・宝石・印鑑などの収納場所として一般的です。
また、家計図や権利書などの重要書類がしまわれている場合もあります。
仏壇を処分する際には、そうした重要な品物が入っていないかしっかりとチェックすることが大切です。

一般的な仏壇は、意外なほどバラバラに分解できます。
仏壇を処分する前には、引き出しなどをチェックするのはもちろん、掃除を兼ねてできるだけ分解して、収納されている品物を見逃さないようにすることが大切です。

「閉眼法要」を行う

仏壇を処分する前には、「開眼法要(かいがんほうよう)」が行われている仏壇かどうかを確認してください。
開眼法要は、「魂入れ」「お性根入れ(おしょうねいれ)」とも呼ばれ、仏壇やお墓をつくった際に行われる儀式です。

開眼法要には仏壇に宿る故人の魂を呼び覚ます意味があり、開眼法要を行った仏壇には故人の魂が宿っています。
開眼法要を行った仏壇を処分する際には、故人の魂を仏壇から抜く儀式である「閉眼法要(へいがんほうよう)」を行います。
閉眼法要は、「魂抜き」や「お性根抜き」とも呼ばれます。

閉眼法要を必ずやらなければいけないという決まりはありません。
しかし、礼拝の対象としてきた仏壇を大切に扱い、心の区切りをつける意味でも、閉眼法要を行うのが一般的です。
なお、開眼法要や閉眼法要を行わない宗派もあるため注意が必要です。

閉眼法要の方法

閉眼法要を行う方法としては、菩提寺がある場合はそのお寺に依頼します。
菩提寺がない場合でも、同じ宗派の寺院に依頼すれば引き受けてもらえます。

寺院との継続的な繋がりをもちたくない場合は、僧侶を手配してくれるネットサービスを利用する方法もあります。
ネットサービスは、お布施の金額が明示されているのも嬉しいポイントです。

また、仏壇を処分する業者に依頼すると、閉眼法要をあわせて行ってくれる場合があります。

閉眼法要の費用

閉眼法要を寺院や僧侶に頼む場合には「お布施」が必要です。
お布施の金額は、宗派や地域によって大きく異なります。
一般的な目安としては、1万円から5万円程度です。

お布施の相場が分からない場合は、直接寺院に聞いても失礼にはあたりません。
はじめは明確には答えてくれないかもしれませんが、「皆さんはどの程度渡されていますか？」「一般的にはどのくらいですか？」などと質問して、大まかな相場を確認しましょう。

また、自宅に来てもらう際には、僧侶に「お車代」を渡すのが一般的です。
お車代は、実際の交通費を上回る切りの良い金額を渡しましょう。
一般的には、5千円から1万円程度が相場といわれています。

なお、閉眼法要を行ってくれる処分業者に依頼する場合は、閉眼法要の費用は処分料に含まれています。

周囲への配慮や仏具の処分も忘れずに

仏壇や故人の品を処分する際には、家族・親族・親しい関係者などに処分方法についてあらかじめ相談しておくことをおすすめします。
断りなく仏壇などを処分してしまうと、後でトラブルになる恐れがあります。

また、仏壇と一緒に仏具の処分についても検討しましょう。
仏壇を処分する機会に、位牌の管理と供養をお寺に任せる「永代供養」を行う人もいます。
仏具などを仏壇と一緒に処分してくれる業者もあるため、そうした業者に処分を依頼するのもよいでしょう。

仏壇と違って仏具はスペースをあまりとらないため、仏具の閉眼供養を行わずに、そのまま所持して供養し続けるのも選択肢のひとつです。

仏壇にはどんな処分方法がある？

仏壇のチェックや閉眼法要を終えたら、仏壇を処分します。
仏壇は廃棄する方法が一般的で、廃棄方法にはさまざまな選択肢があります。
また、珍しいケースですが、仏壇を売却できる場合もあります。

仏壇を廃棄する

中古品の仏壇を購入する人はほとんどいないため、仏壇は廃棄するのが一般的です。
廃棄する方法としては、お寺に依頼する方法や仏具店に依頼する方法、粗大ゴミとして自治体に回収してもらう方法などがあります。

各方法で必要な費用や手間が異なるため、それぞれの方法のメリットを比較したうえで廃棄する方法を選びましょう。

仏壇を売却する

骨董品としての価値のある仏壇や、金などの貴金属が使用されている仏壇は、業者に売却できる場合があります。
また、小さな仏壇を買取対象としている宅配買取業者があります。
さらに、珍しいケースですが、ネットオークションで中古の仏壇の取引が成立する場合もあります。

売却できれば処分料がかからず、逆にお金が手に入ります。
売却できそうな仏壇の場合は、業者に査定を依頼してみることをおすすめします。

仏壇を廃棄する方法

仏壇を処分する方法を具体的にみていきましょう。
まずは、廃棄する方法からご紹介します。

仏壇の廃棄方法には、いくつかの選択肢があります。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。

処分方法	費用	メリット	デメリット
お寺に依頼	有料 地域や宗派、菩提寺か否かなどによって費用が異なる	開眼供養と同時に処分も依頼できる 慣習通りの適切な方法で処分してもらえる	費用が分かりにくい 菩提寺がない場合は依頼しにくい 宗派の制約がある
仏具店や 仏壇処分業者に依頼	２万円から８万円程度 (仏壇の大きさや地域などによって異なる)	仏壇を自分で搬出する必要がない 宗派の制約がない 閉眼法要を行ってくれる場合がある	費用が高め
粗大ゴミとして処分	500円-3,000円程度 (自治体や仏壇の大きさで異なる)	費用が安い 分解すれば可燃ゴミとして無料で処分できる場合がある	自分でゴミ捨て場まで運ぶ必要がある 自治体によっては回収していないところもある 仏壇をゴミ捨て場に捨てることを快く思わない人もいる
ゴミ処理業者に依頼	5,000円-15,000円程度 (仏壇の大きさによる)	自分で搬出する手間が省ける 仏具店などに比べると安価	閉眼供養は別途必要 ゴミに出すよりも費用がかかる ゴミとして仏壇を処分することを快く思わない人もいる

お寺に引き取ってもらう

日頃からつきあいのある菩提寺がある場合は、菩提寺に依頼して仏壇を引き取ってもらうのが一般的です。
また、菩提寺がない場合でも、寺院に依頼すると仏壇を引き取ってくれる場合があります。

仏壇を引き取ってくれるお寺に閉眼供養を依頼すれば、別の業者などに依頼する手間が省けます。
また、お寺は慣習に従った適切な方法で処分してくれるため、安心感があります。

ただし、費用は「お布施」になるため、相場が分かりにくいのが難点です。
地域によっては、比較的高額な費用がかかる場合もあります。
また、お寺との継続的な付き合いを避けたい人には、適した方法ではありません。

仏具店に処分を依頼する

仏壇を販売している業者の多くは、仏壇の処分も行っています。
そうした仏具店に処分を依頼するのも選択肢のひとつです。

仏具店に依頼すれば自宅まで回収に来てくれる場合が多く、自分では運べない大きな仏壇の処分も安心です。
また、閉眼供養をあわせて行ってくれる仏具店もあります。

ただし、処分にかかる費用はやや高めです。
費用は仏壇の大きさや運搬する距離などによって異なりますが、2万円から８万円程度が一般的です。
仏具店に依頼する場合は、事前に必要な費用を確認して、納得したうえで利用するようにしましょう。

なお、引越しの機会とは関係ありませんが、新しい仏壇を購入する際に古い仏壇を下取りしてくれる仏具店もあります。

宅配型の仏壇処分業者を利用する

仏壇の処分を専門で行っている宅配型の業者があります。
そうした業者に依頼すると、宅配業者が自宅まで仏壇を回収に来てくれます。
宅配業者は梱包もしてくれるため、手間がかからず便利です。

業者に送付された仏壇は、閉眼供養を行った後で適切に処分されます。
閉眼供養や読経が不要であれば、料金が割引されるケースもあります。

仏壇処分業者の中には、自宅で閉眼供養を行いたい人のために僧侶の手配を行ってくれるところや、閉眼供養したことを示す証明書を後日送付してくれるところもあります。

宅配型の業者に依頼した場合の費用は、場合によって大きく異なりますが、仏具店に依頼した場合と同じく2万円から8万円程度が一般的です。
宅配型の仏壇処理業者に依頼すれば、処分の手間はかかりませんが、その分費用が高めです。

詳しくはこちらをどうぞ。

自治体にゴミとして回収してもらう

仏壇を粗大ゴミなどとして自治体に回収してもらう処分方法もあります。
閉眼供養が終われば、仏壇には魂は宿っていないと考えられているため、ゴミとして処分しても基本的に問題ありません。

なお、ゴミの処分方法や回収方法は自治体によって大きく異なるため、仏壇を回収してもらう際には、自治体のルールを事前にしっかりと確認するようにしてください。
不適切な方法でゴミに出してしまうと、不法投棄に該当する場合があります。
また、自治体によっては仏壇を回収していないところもあります。

粗大ゴミに区分されるのが一般的

仏壇はサイズが大きいため、粗大ゴミに区分されるのが一般的です。

粗大ゴミとしての処分方法

粗大ゴミとして処分する一般的な方法としては、まずは地域の粗大ゴミ受付センターに連絡します。
その後、スーパーやコンビニなどで粗大ごみ用の回収券を購入し、それを貼り付けてから所定の場所に置いておきます。

粗大ゴミとしての処分料

粗大ゴミの処分料は、自治体や品物の大きさによって異なります。
大まかな相場としては、400円から2,000円程度が一般的です。
大きな仏壇の場合は、3,000円程度かかる場合もあります。

自治体に回収してもらえば、仏具店などに依頼するよりも費用が大幅に安く済みます。
ただし、所定のゴミ捨て場まで自分で運ぶ必要があります。
自治体によっては自宅前まで回収に来てくれるところもありますが、重い仏壇を外まで運ぶのは大変です。

分解する方法もある

仏壇は、ある程度バラバラに分解することもできるため、「可燃ゴミ」などとして出せる場合もあります。
その場合は、処分料はかかりません。

ただし、仏壇は頑丈なものが多く、解体作業に慣れていない場合は、大きな仏壇の分解はおすすめしません。

周囲の目が気になる場合はゴミに出すのを避ける

仏壇は、宗教に関わる品物です。
閉眼供養が済んでいるものであっても、ゴミ捨て場に仏壇を捨てることを快く思わない人がいます。
地域の繋がりが強い場所に住んでいるなど、周囲の目に配慮する必要があるケースでは、ゴミとして出すのを控えたほうが良い場合もあります。

仏壇を処分する際には、周囲の目にも配慮して処分方法を決定しましょう。

地域のゴミ処理センターに持ち込む

粗大ゴミは、回収日が希望通りになるとは限りません。
また、回収日までに間があく場合があります。

自分で仏壇を運ぶ手段があり、急いで処分したいのであれば、地域のゴミ処理センターに直接持ち込む方法もあります。
直接持ち込めば、回収日を待たずに仏壇を処分できます。
また、周囲の目を気にする必要がありません。

ただし、自治体によっては引き取ってもらえない場合もあるため、必ず事前に連絡して確認をとってから持ち込むようにしましょう。

なお、直接持ち込む場合でも「10kgあたり200円」といった処分料がかかるのが一般的です。

ゴミ処理業者や不用品回収業者に依頼する

ほかの粗大ゴミと同じく、仏壇の処分をゴミ処理業者や不用品回収業者に依頼することもできます。
業者に依頼すれば自宅まで回収に来てくれるため、自分で運ぶ手間が省けます。
ただし、ゴミ処理業者は開眼供養を行ってくれないため、必要な場合は事前に済ませておきましょう。

事前に費用を確認する

ゴミ処理業者に仏壇の処分を依頼すると、処分料がかかります。
処分料は業者や仏壇の大きさによって異なり、総額は5,000円から15,000円程度の場合が多いでしょう。
業者に処分を依頼する際には、事前に仏壇の大きさを伝えて、費用を確認したうえで依頼するようにしてください。

ゴミ処理業者や不用品回収業者に依頼すると、ある程度の費用がかかりますが、仏具店に依頼するよりも安価で処分できる場合が多いです。

無許可の業者は利用しない

家庭からのゴミを処分する業者は、「一般廃棄物収集運搬業」の許可や自治体からの委託を受けている必要があります。
そうした許可を受けていない業者は、利用してはいけません。

無許可の業者を利用した結果、後で法外な費用を請求されるなどのトラブルが多数報告されています。
また、無許可の業者はゴミを不法投棄する恐れがあります。
長年礼拝していた仏壇が不法投棄されてしまうのは、絶対に避けなければなりません。

自治体のホームページには、許可を得ている業者が一覧で掲載されています。
また、自治体に問い合わせれば優良な業者を教えてくれます。
業者に仏壇の処分を依頼する場合は、そうした許可を得ている業者を必ず利用しましょう。

引越し業者は処分してくれる？

引越し業者の中には、引越しの機会に家具や家電を回収・処分してくれる「不用品回収サービス」を提供しているところがあります。

引越し業者に仏壇の処分を依頼できれば手間がかからず便利ですが、一般的に引越し業者は仏壇を処分してくれません。
仏壇をほかの家具のようにゴミとして処分すると、企業の評判に影響する可能性があるため、これは仕方ありません。

引越しの機会に仏壇を処分したい場合は、引越し前に済ませておく必要があります。

仏壇を売却する方法

仏壇の種類によっては、売却できる場合があります。
売却できれば処分料がかからず、逆にお金が手に入ります。
売却できそうな仏壇であれば、買取業者に査定を依頼してみることをおすすめします。

どんな仏壇が買取対象になる？

ただし、仏壇を中古で購入するのは珍しいケースのため、多くの仏壇は買取対象になりません。

買取対象になるのは、骨董価値のある仏壇や、金などの貴金属が使用されている仏壇が中心です。
また、コンパクトサイズの仏壇を買取対象としている宅配買取業者があります。

なお、宗派によっては中古品の仏壇の売買が一般的に行われている場合もあります。

仏壇の売却方法は？

骨董価値のある仏壇を処分したい場合は、骨董品の買取業者に査定を依頼しましょう。
また、貴金属が使用されている仏壇は、貴金属を取り扱う業者などが買い取ってくれます。

仏壇を買取対象としている宅配買取業者がある

一部の宅配買取業者は、小さな仏壇を買取対象としています。
宅配買取業者は、宅配便で送付する形式で不用品を買い取ってくれる業者です。

仏壇を買取対象としている宅配買取業者に「 ecofa(エコファ)」があります。
「ecofa(エコファ)」は買取価格を無料でオンライン査定してくれるため、小さな仏壇を処分したい場合は、いちど査定を依頼してみるとよいでしょう。

また、「ecofa(エコファ)」は、宅配業者が品物を梱包してくれる「梱包おまかせサービス」を無料で提供しています。
仏壇は梱包が面倒ですが、「ecofa(エコファ)」であれば安心して買取を依頼できます。

詳しくはこちらをご覧ください。

仏壇を買い取ってくれる業者を調べてみる

ネットオークションなどで売れる場合もある

近年では、ネットオークションによる個人間売買が盛んに行われており、ネットオークションで中古品の仏壇が売買されるケースもあります。
ただし流通量は少なく、かなり珍しいケースです。

ネットオークションは売却に時間がかかり、仏壇は売れないケースも多いでしょう。
そのため、仏壇の処分方法としてはあまりおすすめできません。
特に引越しの機会に急いで処分したい人には、適した方法ではありません。

まとめ

仏壇を処分する際には、仏壇から故人の魂を抜く「閉眼供養」を行います。
また、仏壇には貴重品が収納されている場合があるため、処分する前によく確認しましょう。

仏壇の処分方法としては、廃棄するのが一般的です。
廃棄する方法としては、「お寺に依頼する」「仏具店・宅配型の仏壇処理業者に処分してもらう」「粗大ゴミとして自治体に回収してもらう」「ゴミ処理業者に依頼する」などの方法があります。
それぞれの方法で必要な費用や手間が異なるため、それぞれのメリット・デメリットをよく比較したうえで処分方法を選ぶことが大切です。

また、仏壇を売却できる場合があります。
骨董価値のある仏壇や貴金属が使用されている仏壇は、買取業者に査定を依頼してみることをおすすめします。
コンパクトな仏壇であれば、宅配買取業者に売却できる場合もあります。

仏壇の処分方法には、さまざまな選択肢があります。
今回の記事を参考にして、自分にあった方法を選んでみてください。